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「先輩」
俺を呼ぶ宮下の声。
おどけた時はちょっと高くて。
普段はけっこう落ち着いていて。
こんなにも耳に心地いい。
「やっぱ帰ります」
何かを決めたように宮下が言って。
俺の心の歯止めが切れた。
「ここまで来て逃げんの?」
それはズルイだろう?
狡いのは俺のほうなのに。
かってに宮下にムカついて。
思い通りにしようとしている。
宮下が男に興味ないのはわかっていて。
どうせ手に入らないのなら、1度でいいから触れてみたい。
ただもう1度だけ。
キスがしたい。
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