2章 引きこもりと未来と大桜一家

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「た、助けてくれええええー!!」 俺はまたしても全力でヤクザから逃げる羽目になっていた。 「待ちやがれっ! この汚ねえ犬畜生がっ!」 「だから、誤解だっつーの!! 俺は何もしてねえっ!!」 「黙れこの小便野郎! ウチのお嬢に手え出して五体満足で帰れると思うなよっ!」 不味い、これは捕まったら確実に殺される。 「み、未来っ! 早くなんとかしてくれっ!」 俺は走りながら、大声で未来に救援要請を試みる。 「てめえっ! お嬢を呼び捨てにするとは良い度胸だ! 明日のお天とう様を拝めると思うなよ!」 俺の悲痛な叫びは、未来に届くより先に、男の耳に届いてしまう。 不幸な事に、それは男のスピードを更に加速させると同時に、殺意を倍にもしてしまったようだ。 俺は死に物狂いで歩いて来た道を逆走する。 人間の身体って満身創痍で限界越えても走れるんだね……。 すごいね……人体の神秘……。
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