2章 引きこもりと未来と大桜一家

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「実はあっしが持ち場を離れたのは、妙な連中を見かけたからでして……」 しばらくの間、俺の様子を気遣ってくれていた飯塚さんだったが、俺が落ち着いたと見えたのか、ゆっくりと話を始めた。 「ちらっと見えた程度でしたが、それでもすぐ気が付きやした。結局は同じ穴のムジナ……。同業の連中はすぐに分かりやす」 俺と未来は飯塚さんの話を聞くことにする。 「大きな街じゃねえ。ここら一帯縄張りにしているンはウチの組と黒龍だけです。連中は先の一件があった時から、まるで猫みてえに大人しかったんですが、ここ最近妙にあちこちで見かけるようになったと、下っ端連中から聞いていやして……」 その頃になると、俺は動悸も収まり、飯塚さんの話に耳を傾けていた。
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