44012人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちらほら動き出してるってえことは……。あまり善いことじゃありやせん。何か面白くもねえってことをしようってえことです。俺は連中の1人の後を付けたンですが、途中で捲かれてしまいやして……」
そこまで言って飯塚さんは悔しそうに拳をグッと握りしめた。
「まさか、お嬢が狙いだとは思いもしなかった……畜生ども!」
「あはは……。私なら大丈夫ですから。ちょっと怖かったけど、次郎くんのおかげで元気に帰ってこれましたし」
ですよね?と付け加えて、何故か嬉しそうに未来は俺の方を見つめた。
「次郎さん。改めてお礼を言わして下さい。お嬢を守って頂き、本当に有難うございやした」
飯塚さんは、俺に向かって深く頭を下げる。
年上の、しかもヤクザで厳つい男が俺に対して、敬語でお礼を言っているという状況に、俺は少し狼狽してしまう。
最初のコメントを投稿しよう!