44012人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ……」
俺は息ゆっくりと息を吐き出した。
「……話というのは、お嬢には聞かせたくないたぐいの話でやすね?」
「察しがよくて助かりますね…ありがとうございます」
「いえ、これでも組のまとめ役を勤めさせて戴いている身で」
俺はもう1度息を吸い、それから飯塚さんを見据えて話はじめた。
「単刀直入に聞きます。未来が誘拐されかけたのは何が狙いだったと思いますか?」
「旦那、それは……」
「俺も彼女の話を聞きました。単なる推測ですが、黒龍会が未来を狙ったのは突発的なことではなく、計画的なことだったと思います」
俺はそこまで一気に話す。
「……」
飯塚さんは黙って何かを考えているようだった。俺は話を続ける。
「誘拐が前々から計画的なものだったと仮定した場合、未来を誘拐することは計画の第一段階に過ぎない……。つまり誘拐が成功した後に真の狙いがある、ということになります」
最初のコメントを投稿しよう!