1章 引きこもりと女の子と抗争

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「え…? あ、あのっ」 「じゃあ行こうぜ。こんな辛気くせえ場所いつまでもいられねえしな」 「でもっ、私っ……大桜の……」 「いや、一回見てみたかったんだ。すげーでかい屋敷なんだろ?」 「えっと……その、また迷惑が……」 「いいから。俺がそうしたいんだ」 本心からの言葉。 「……ぐすっ、うぅ……」 笑わせようと思った矢先にこれかい! 女の子は急に泣き出してしまった。 「ちょ、ばかばか、何泣いてんだ!」 「す、すみません……。なんか、嬉しくて、嬉しくて……。安心しちゃって……」 お袋を除けば、女の子に目の前で泣かれるという生まれて初めての経験に、俺はただただうろたえるしかなかった。
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