1章 引きこもりと女の子と抗争

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「そうだ、名前……」 「え? どうしたんですか?」 俺と女の子は並んで夕焼けの中を歩いていた。 「名前聞いて無かったな。俺は筒見。筒見次郎だ。あんたは? やっぱり名字は大桜なのか?」 「あ、そういえばそうでしたね。いえ、大桜は組の名前です。私の名字は桜井ですよ」 大桜一家だから、名字もてっきり大桜だと思ったのだがどうやら違ったようだ。 「みらい。桜井未来です。なんか語呂が少し悪いですよね」 「そんなこと言ったら、俺なんて長男なのに次郎だぞ?明らかに適当に付けられた名前だろ」 「ふふっ、でも名前は自分だけのもの。大事にしないといけないですよね」 そう言って笑いあう俺たちの周りには人気(ひとけ)はなく。 伸びた2人の影だけが一緒に揺れていた。
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