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「そうだ、名前……」
「え? どうしたんですか?」
俺と女の子は並んで夕焼けの中を歩いていた。
「名前聞いて無かったな。俺は筒見。筒見次郎だ。あんたは? やっぱり名字は大桜なのか?」
「あ、そういえばそうでしたね。いえ、大桜は組の名前です。私の名字は桜井ですよ」
大桜一家だから、名字もてっきり大桜だと思ったのだがどうやら違ったようだ。
「みらい。桜井未来です。なんか語呂が少し悪いですよね」
「そんなこと言ったら、俺なんて長男なのに次郎だぞ?明らかに適当に付けられた名前だろ」
「ふふっ、でも名前は自分だけのもの。大事にしないといけないですよね」
そう言って笑いあう俺たちの周りには人気(ひとけ)はなく。
伸びた2人の影だけが一緒に揺れていた。
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