1章 引きこもりと女の子と抗争

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「えーと……じゃあ桜井さん」 「あ、未来って呼んで下さい。名前の方が好きだし、それになんだか嬉しいし……」 彼女はは少し恥ずかしそうにそう言った。 「あ、ああ……。んじゃ、未来さん」 「さん、なんて他人行儀ですよ。未来って呼び捨てにして下さいっ」 何かと注文が多いな。 「いや、いきなり呼び捨てはまずいだろ……。っていうか恥ずかしい」 「え? まずくて恥ずかしいんですか? どうして?」 「どうしてと言われてもな……」 なんと答えたらいいものか、俺は少し頭を捻る。 「……? いいじゃないですか。私も嬉しいんですし」 「あー……いや、わかった。そんじゃ未来」 「はいっ」 結局は彼女に押し切られたような形になってしまったようだ。 名前を呼ばれただけだというのに、そんなに嬉しいのだろうか。 未来はにっこり笑って返事をする。
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