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松平は言葉を無くす。
土方達もそう。
まさかこの小判全部いらないなんて言うとは思ってもみなかった。
近藤「俺達は別に金に困っていませんし、こんな大金貰っても宝の持ち腐れになってしまうし。
どうせ池田屋での会津藩の人達の暴言に対しての謝罪分も入ってるんでしょ?」
松平「それは…」
近藤「じゃぁ、謝罪分だけを貰います。それでいいでしょう」
近藤は風呂敷に乗っている小判の半分を取り、残りの小判は松平に返した。
ようするに大金はいらないが、自分達に対して暴言を吐いた人達からの謝罪料は受け取る。
こういう事だろう。
金に対する欲。
人間は実に欲深い。
それが金なら尚更のこと。
普通ならこんな大金を目の前にし、全て貰えるとなるとほとんどの者は受け取るだろう。
だが近藤は受け取らなかった。
すると松平はフッと笑い、分かったと言って小判を風呂敷になおす。
そして立ち上がり、部屋から出ていこうとした。
松平「近藤」
近藤「はい?」
松平「心の広いやつだな。そなたが局長でよかった」
近藤「…はい♪」
松平は後ろに笑いかけ部屋を出て行った。
近藤達は頭を下げ、感謝の気持ちを心に刻む。
すると、一番に顔を上げた飛鳥が小判に目を移した。
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