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「…お前は、今も昔もただ独りで苦しみ続けているんだろう。憎みたくて、憎めなくて…殺したくて、殺せなくて……ずっと、痛みや苦しみに耐えてばかりだな…」
「ち、違う…っ…」
やばい。
本気で泣きそうだ。
小さく振り絞った声が震えていた。
「違わねぇ。」
「ち、がっ…」
「違わねぇよ…ガイ……」
アッシュは今にも泣き出しそうなオレの頬に手を寄せて、急に優しい声でつぶやいた。
「ガイ…お前が楽になるなら、お前が笑ってくれるなら…オレは喜んでこの命を捧げよう。けど、お前が苦しむと言うなら、オレはお前の前から姿だけを消そう。」
「ッ…アッシュ…」
「ガイ、教えろ。お前はどうしたい?」
低い声が、優しくオレに問い掛けた。そして、オレは俯いたままでそっと手を相手に向かい伸ばした。そうすれば、今まで隠してきた想いが溢れ出し止まらない。
「…アッシュの、傍に…居たい……。お前が、好き、だから…」
ずっと昔から
お前が羨ましくて、憧れてた。お前みたく、凛とした強さがほしかった。
オレは昔から
泣いてばかりで、誰かのせいにしか出来なくて…小さな手の平では何も掴めなかった。だからきっと、オレはずっと前からお前に恋焦がれていたんだよな。
「ガイ…本当にそれでいいのか?お前が、望むことか?」
アッシュの問い掛けに、オレはただ頷くことしかできなかった。
もう 痛みも苦しみもいらない。なら、お前と共に歩き出そう。
もう一度、やり直そう。
こんなオレを愛してくれるのなら。こんなオレを赦してくれるのなら。だったらいくらでもこの身を捧げよう。この命が朽ちてしまうその日まで、オレはお前を愛し続けよう。
償いではなく、オレの本心で
「アッシュ…傍に…いさ、せ…て…っ」
「馬鹿野郎。それはオレの頼みだったのによッ…」
あぁ、気付いたら
雨はやんでいた……。
NEXT...?
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