二人の楽園

2/3
前へ
/17ページ
次へ
愛しい貴方が居れば それは何処だって楽園-シャンバラ-へと変わる。 ほら 目を閉じればいつだって、貴方はあの日のまま微笑んでいるじゃないか… 【二人の楽園】 ヴァンとの決戦を終えて、もう二年もの時が過ぎていた。あの日命を共に賭けて戦った仲間達は皆、それぞれのやるべきことを成しながら生きていることだろう。 そう オレ一人だけを除いて… 「ガーイー。何してるんですかぁ?早くブウサギの水浴び終わらせろって陛下がぼやいてますよー!」 中庭でブウサギの水浴びをしていれば、急に聞き慣れた声が遠くから響いてオレはふっと顔を上げた。 何時もの余裕を持った笑みを浮かべて、自室の窓を開け声を上げるジェイドの姿が目に入った。 相変わらず… そんな言葉が彼には相応しいと思う。なんて、きっとそれはオレにも言えたことなのだろうと思ったが… 此処グランコクマは平和で、暖かくて、とても居心地の良い場所だ。そう、居心地良い……場所な筈だ。 でも途端にあの日の最期のあいつの笑みを思い出すだけで、オレには何処の世界だって白黒-モノクロ-にしか見えなかった。 世界はこんなにも広くて、果てがないのに。 .
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加