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愛しい貴方が居れば
それは何処だって楽園-シャンバラ-へと変わる。
ほら
目を閉じればいつだって、貴方はあの日のまま微笑んでいるじゃないか…
【二人の楽園】
ヴァンとの決戦を終えて、もう二年もの時が過ぎていた。あの日命を共に賭けて戦った仲間達は皆、それぞれのやるべきことを成しながら生きていることだろう。
そう
オレ一人だけを除いて…
「ガーイー。何してるんですかぁ?早くブウサギの水浴び終わらせろって陛下がぼやいてますよー!」
中庭でブウサギの水浴びをしていれば、急に聞き慣れた声が遠くから響いてオレはふっと顔を上げた。
何時もの余裕を持った笑みを浮かべて、自室の窓を開け声を上げるジェイドの姿が目に入った。
相変わらず…
そんな言葉が彼には相応しいと思う。なんて、きっとそれはオレにも言えたことなのだろうと思ったが…
此処グランコクマは平和で、暖かくて、とても居心地の良い場所だ。そう、居心地良い……場所な筈だ。
でも途端にあの日の最期のあいつの笑みを思い出すだけで、オレには何処の世界だって白黒-モノクロ-にしか見えなかった。
世界はこんなにも広くて、果てがないのに。
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