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罪から君を愛して
アシュガイ
(二人の出会いの話)
「あ。雨だ…」
ぽつり…
と冷たいものが頬を濡らした。それがオレに、雨が降って来たのだと知らせた。そして、何故このオレ、ガイ・セシルが此処(街中の家外)にいるかというと仲間の皆に頼まれたものを、散歩ついでに買いに来ていたからだ。
いけない…
これはもしかしたら本降りになるかもしれないぞ。
頭でそんなことを考えながら、急いで宿への帰り道を辿っていった。が、だんだんと雨が強くなっていくにつれて髪の毛が乱れてきたし、それに食材やらグミやらを入れていた紙袋が濡れて何だか軽くやばいことになってきていた。
「これはちょっとマズイかなっι」
そう言葉を漏らすと、オレは急いで雨宿りが出来そうな場所を探した。そしたら、調度良くも屋根のついたベンチを見つけた。そして濡れた荷物を置いて髪を掻き上げ、小さくため息をついてみた。
まったくついていないι
こんなことだったら買い物なんて引き受けるんじゃなかった…
なんて今さら後悔しても遅いのだけど。
灰色の空。淀み濁ったような灰ーアッシュー。嫌な色だ…。思い出したくないものを、沢山思い出す。辛くて、悲しくて、痛々しい思い出達。そして今はもう、戻らない人達…
「姉、上……」
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