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お互いの目線が今ここで、ようやく合わさった。
「拭け。風邪を引いたら困るだろう?」
オレは相手の行動に我が目を疑った。だって、そうだろ?何でこいつがオレを心配してタオルを突き付けてくるんだ?
「アッシュ、これは…」
「いいから拭きやがれッ!」
「あ、あぁ…ι」
何故強制?
意味がわからん。何を考えてるんだこいつ。オレが…お前を殺そうとしたオレがお前は憎くないのか?
そんな言葉が喉まで出かかったが、口には出来なかった。
いや、『しなかった』だろうか。だってオレは逆に憎まれていることが、怖かった。知りたくなんかなかった。そうさ、だから…
「なぁ、アッシュ…お前、全部知ってるんだろ…?」
自然と言葉はオレの口から発せられていた。
「なんの話だ?」
「なんのじゃなくて、お前は…ッ!」
「自分の仇の息子、か?」
「ッ……」
やっぱり。
知っている。全部、すべて…
オレの過去も何もかも。
これ以上の言葉は見つからない。ただ押し黙って、俯く他に何も出来なかった。
「残念だったな。オレも、ルークも殺せなくて」
「ち、違…っ」
「違う?何が違うんだ?違わねぇーだろ。」
違わない。
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