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「承知しました。
それについて、詳しいことを教えて下さい」
祓はその代わりと言う風に、情報を要求する。
清はそれに、小さく頷いた。
「行方不明の子息の家は、────御劔(みつるぎ)家だ」
「御、劔…家?」
祓は聞き覚えのないその名前に、戸惑いを隠しもせずに聞く。
そんな祓に、清は冷たい視線を向けてくる。
「御劔家だ。
剣を司る家。
十六夜家と直接の関係は無いが、十六夜家と関係のある殆どの家が、御劔家の護衛をつけている。
由緒正しい、剣技の家柄だ」
そこまで言われて、漸く祓の頭にもちらほらと情報が浮かんでくる。
「あぁ…そう言えば。
“祓魔の剣”を打ったのは、初代の御劔家でしたっけ。
確か……御劔 耶兜(やと)」
「そうだ」
清は、小さく頷く。
そして、息をついてから話し出す。
「その子息が、行方不明になっている……いや、行方不明になっていたのを、探し出して欲しいそうだ」
「行方不明に、なっていた……?」
なっている、ではなくて?
怪訝そうな顔をした祓に、清は淡々とした口調で返す。
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