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忍家から帰ってきて、早1週間。
祓と煌夜は、何とも平和な日々を過ごしていた。
「久々だな、こんなにゆっくりするのも」
祓はゆっくりと伸びをすると、ごろんと畳に寝転ぶ。
忍家にいる時は、こんなにのんびりと寝転がるなんて、出来もしなかったのだ。
この穏やかな日常が、忘れ去られようとする程に。
「確かに。
最近は、妖退治も楽なのばっかりだし」
煌夜もつられたように伸びをしてから、方膝をたてて柱に背を預ける。
既に煌夜の癖になりつつある戦闘体制が、この平和には妙に不釣り合いだった。
煌夜はそれに微かに苦笑しつつも、小さく息をつく。
────と。
のんびりしている祓達を尻目に、部屋の中に、小さな嵐が吹き込んでくる。
「祓兄っ!」
焔だ。
この前祓が怪我をしてからというもの、更に祓にくっついて離れなくなり、最近では離れている姿を見る方が難しい。
そして、先程まではそんな珍しい光景が広がっていたのだが。
「焔、ご苦労様。
上弦さんどうだった?」
それも、祓にお使いを頼まれたからだ。
頼まれた、というよりも、半ば無理矢理、焔がもぎ取ったという方が正しいのだが。
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