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それに梼浬は一瞬だけ眉根を寄せるが、やがて諦めたようにため息をつくと
「御輿殿と神楽殿も来られたようですしね。
お話しましょう」
いつの間にか後ろに来ていた御輿と神楽を見て、一つ大仰に頷く。
そして、梼浬は話し出した。
自身がここにいる理由を。
これからの、自身の身の振り方を────
「忍家の実務集団の長の位を、返上してきたんです」
梼浬は、あっさりと、こともないようにそう言った。
しかしそれは、梼浬と上弦以外の面々に 衝撃を走らせた。
「…………!
へ、返上っ!?」
何故?
声を失った面々も気にせずに、梼浬は尚も話し出す。
上弦は、既に諦め顔だ。
かなり憔悴していることからしても、そうとう反対して、それでもと押しきられたのだろう。
かなり意志が強固そうだもんな……
祓は上弦に同情しつつも、梼浬の話に耳を傾ける。
「私は上弦様の臣下。
君主が十六夜家に仕え忍家にいない以上は、忍家に義理立てする必要はないと判断しました。
よって、ここにいる次第です」
どうやら梼浬の優先順位は、永遠の忠誠をちかった上弦に重く置かれているらしい。
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