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「でも、一応決まったんですよね?
それでいいんじゃないんですか?」
祓がそう言うも、梼浬は尚も思案顔だ。
「そうなのですが……。」
しかし、次の言葉が浮かばないらしい。
心の中にもやがあって、どうにも安心出来ないようだ。
祓はその光景を見ていないので、何とも言えないが。
「少なくとも危害は加えないでしょうし、放っておいても害はないのでは?」
少なくとも、危害は加えてこないだろう。
祓がそう言うと、梼浬はそれには頷いた。
「仲間思いの奴です。
それは心配ないでしょう。
ですが、少々思い込みの強い奴で……」
梼浬はため息をつくが、それ以上は言わなかった。
その代わりに、今度は上弦が口を開く。
しかし、それは槻景とは全く関係のないことだった。
「皆様方。
今、清様から式が来ました。
全員、速やかに大広間に集まるようにとのことです」
申し訳なさそうな顔をしながらも忠実に伝える辺り、上弦も本質は梼浬と似ているのだろう。
所謂、忠誠体質とでもいっておうか。
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