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その忠誠体質の上弦は、話を遮ることに心苦しそうにしながらも、さぁとばかりに 自身が立っていたドアの横によける。
祓は一つ、ため息をついた。
「……分かりました。
行かないと言っても、どうせ無駄なんでしょう?
行くぞ」
最後は煌夜達にそう言うと、祓はゆっくりとドアに向かう。
そして、────抜けた。
「また、か。
今度は何処の馬鹿の仕業だ?」
久々に、大きな仕事だ。
ここ1週間は、静かな日々を過ごしていたというのに。
「まぁまぁ祓。
どうせ、僕達に平穏なんて夢のまた夢だよ。
それより早く終わらせてさ。
何か美味しい物食べに行こうよ」
御輿が慰めだかよく分からないことを言って、励ましてくれる。
しかし、祓の気分は晴れなかった。
「祓。
今回は……ただ、大きな仕事だよ」
しかし。
煌夜の言葉に、祓はバッと顔をあげる。
────気付かれた。
顔をしかめさせて、祓は煌夜を睨み付ける。
「分かってるよ」
それ以上、祓は何も言わなかった。
ただ静かに、大広間を目指す。
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