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夢~始まり~
最近毎日が怠い…
すっかりバイト先では最古の化石となっていた俺は、フリーター人生にピリオドを付けたのは、ほんの三ヶ月前の事だ。
彼女と別れたのがキッカケとは言いたくないが、タイミング的にみんなにはそう思われただろうな…。
俺は通勤電車のゆりかごの中、心地良いリズムにのって夢の世界へダイブしながら、メランコリーな気分にウンザリしていた。
電車のベルがやかましく騒いでいやがるから、ふと目を開けてやった。
どうやら、ドアが閉まる合図だったらしく、人が何人か駆け込んでいた。
反射的に駅名をみた…
「やべっ!!」
そこは俺が毎日スーツを着てネクタイをしめて、皮靴を履いて、8時間地獄に監禁されに行く為に降りなくてはいけない場所だった。
電車はぷしゅ~っと俺をあざ笑うかのごとく無情にも、俺を降ろす事なく扉を閉めた。
あぁ…閻魔に連絡しなきゃな…
…遅刻します、と。
渋々携帯を取り出し、言い訳を考えていると、ふと急にさっきまで見ていた夢は何だったかを考えた。
あれ?なんだっけな?
やけに気になるな…
ま、いっか…どうせ対した夢じゃないし。
またすぐに閻魔への言い訳を考えて、電話した。
案外優しい対応ですんだ……監禁が2時間増えただけだ……くそ。
ストーリー初っ端から冴えない主人公こと、俺、荒川 健(あらかわけん)今年で25歳になるオス。彼女いない歴=社会人歴になります。はい。
良いキッカケをもらって始めた社会人。
正直、入る所をまつがえたと思う。
営業の仕事に自ら望んで入った会社だったが、俺に営業は向かないと気付くのに、3秒もいらなかった……
今、この会社に停車を続ける理由としては、良い上司に付けたってのと、給料が良いと言うツートップがあるからだ。
まぁそのうち、数字が悪いと駐禁取られて、はい退場ってな感じになるだろう。
それまではマイペースにやるさ。
どうでもいいが、さっきの夢が何だったかまだ引っ掛かるな…
なんか、いい夢な気がするんだけどなぁ…
そんな事を思いながら、俺はまた閻魔様への言い訳を考えていた。
何故って?
今また降りるべき駅が通り過ぎたからだ……
この駅は特快電車は止まらない所だったな。
俺のメランコリーな気分は一日続くだろうと確信した瞬間だった。
俺が何をした?
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