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もう10分もすれば隣町の学校からも学生が来て満員になるこの時間帯、この二人はあの出来事以来バイトしているのだ。
長さんに憧れた二人は自ら給料無しでもいいから雇ってくださいと頼み込んだそうだが、長さんは長時間労働でもないのに学生には多すぎるぐらいの給料をくれるそうだ。
「んじゃ長さんオレ達そろそろ帰るわぁ。」
ロクは次々と入店してくる学生を見て言った。
「クソ~、ロクにも勝てなかった~。
サッカーとかバスケとか走る系のスポーツなら得意なんだけどな~。」
アキラの戦績・0勝10敗。
アキラはへなへなになって負け惜しみを言った。
「やり慣れてないだけでしょ。
明日も受けて立つわよ。」
マキはまくったシャツを直してカバンを肩にかけた。
三人はドリンク代をバーに置いて長さんにさよならして店を後にした。
商店街は下校する学生達でより賑やかになっていた。
空はまだ赤く染まっていたが街灯に明かりがついている。
ロク達は商店街を抜けると一軒家ばかりの住宅街に出て漂ってくる晩御飯の匂いを嗅ぎつつ、いつものように雑談ばかりしながら歩いた。
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