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白髪の小年の服装は極めてシンプルで白い服、人間ドックで着るような服だった。
その白い服は所々に先程の事故の他に転んだり険しい道を走ってきたりしたような裂けたあとや汚れがあった。
裸足の足も土の汚れが目立つ。
だがやはりさっきの事故のケガによって流れた血はどこにもついていないようだ。
白髪の少年は目の前にロクが立っていることに気が付いて焦った顔になり、びくびくとおびえた。
「み・・みみ・・見たな・・。」
震えた声だった。
ロクに警戒心を抱きつつそばにある電柱にしがみついて少年は続けた。
「もう・・・戻り・・たくないよぉ・・。
戻り、たく、戻りたくないよぉ、ぉ。」
ロクは状況がまったく飲み込めずに目を見開いたまま、泣きじゃくっている少年に聞いた。
「お前、何者だ?
迷子なのか?」
少年はロクの質問を答えるより先に恐る恐る聞き返した。
「お兄ちゃんは、誰?
研究機関の人なの?」
「研究機関、何だそれ?」
ロクは混乱したがしばらくしてよく考えた。
まずこの子供が普通じゃないことは分かった。
そしておびえ方も尋常じゃない。
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