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小さい子供が破れ乱れた服を着てこれだけおびえているのだ。
よほど恐ろしいことを誰かにされたのだろう。
そして餓鬼魂に来た怪しい黒スーツの連中。
この子供は今大変な状況に置かれていると考えられるのではないか。
でも一瞬頭をよぎった長さんの言葉、
「深くは関わらねぇ方がいい。」
深く首を突っ込めば下手したら他のみんなを巻き込むかもしれない。
研究機関・・・大きい組織かもしれない。
かくまった所で太刀打ちできるかどうか。
ロクは少年をもう一度見た。
まだ涙を流してこちらを見ている。
潤んだ瞳は「恐怖」の他に何かを強くうったえているように見えた。
「助けて。」
ロクは決心した。
「オレはただの高校生だ。
大丈夫、何もしないから。」
ロクは微笑んで少年に手を差しのべた。
少年はロクを見つめる。
研究機関とは関係のない人っぽい。
乱暴に捕まえようとしない、こんなにニッコリと微笑みかけている人が悪い人のはずがない。
そんな単純な考え方で少年の警戒心はすぐにほどけた。
このお兄ちゃんに助けてもらえれば助かる可能性が少しでも上がるかもしれない。
しかし少年は、
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