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「アキラは相変わらず暑さに弱いねぇ。
これでも食べて元気出しな。」
そう言ってまんじゅうを渡したのは和菓子屋のおばあちゃん。
「サンキュ~ばあちゃん。
あっちに着いてから食べるよ。」
暑さに耐えながらもまんじゅうを受け取った手を大きく振ってアキラは微笑んだ。
こんな感じで三人が商店街を通るといつものように色んな人から声をかけられる。
三人は小さい頃から毎日のように商店街で遊んでいたのでロク達を知らない住人はほとんどいない。
ロク達はしばらく歩くと一件のカフェに辿り着いた。
ドアの上の看板には大きく筆と墨汁で乱れて書いたような字で「餓鬼魂」と書かれている。
ロクはドアを開けた。
それと同時にドアに仕掛けられている鈴が鳴り、店内のクーラーの涼しい風が三人を包み込んだ。
ロクはバーの向こうでグラスをフキンで拭いている店主に声をかけた。
「ちぃ~す、長さん。」
すると店主はニカッと歯を出した。
「今日も来たな~、クソガキ共~。」
この人はカフェ「餓鬼魂」の店主・長さん。
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