運命の日

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「なかった?」 「うん…」 「残念だったね。でもホラ、俺もいるし」 「…夏もいるし、ね」 笑うとまた頭を撫でる。 ガッカリした気分も消え失せて、茜ちゃんと教室に入る。見知らぬ人がいて少し寂しくなった。 それと同時に「また友達できるかな」と不安がこみ上げてくる。 黒板に張られた紙で名前を確認し、席を探す。新しい出席番号もしっかり覚えないとね。 「お、秋ちゃんの次じゃん」 「一気に縮まったね」 一年のときには私と茜ちゃんの間に三人ぐらいいた。だけど二年は誰もおらず、私、茜ちゃんという順番。 夏はまだ帰ってこないので、茜ちゃんと喋った。 「聞いた?青柳クン生徒会長に立候補するんだって」 「夏から聞いたよ。凄いよねー」 「寂しくない?これで喋る機会減るよ?」 「その前から喋ったことないから。私は見てるだけで幸せなの」 整った顔に二年になって黒く染め直した髪の毛。前は今風でオシャレなイメージがしたけど、今は普通の男の子って感じ。 だけど私は今のほうが格好よくて好きだ。 それでも青柳君が取り巻くオーラは輝いて見えた。 それを見るだけで私は幸せなんだ。 「秋ちゃん…!君はなんていい子なんだ…」 「え?」 「おにーさん感激しちゃった…」 「?」 「そんなわけで本格的に協力してあげる。俺、副会長に立候補するね」 任せてと言わんばかりに目をキラキラさせる茜ちゃん。 私は茜ちゃんについて行くことができなかった。
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