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秋と夏が入学した『朔咲高校(ざくざき)』は有名な進学校。成績さえよければ、髪の毛を染めようと何しようと勝手なのだが、先輩を見る限り染めている人は少なかった。よく見ればスカート丈も極端に短い人がいない。
校則がなくても高校生らしさを保っているなんて凄いことだと、改めて先輩達を尊敬した。他の高校だったらこうもいかないだろう。
「はー…緊張するね」
「秋だけね。私は別に」
「さすが皆の姉御。肝が据わってるねー」
夏は昔から明るく、クラスの中心で皆をまとめていた。特に女の子からの信頼が厚く、夏を慕う者から「姉御」と言われていた。
だが彼女にも苦手はある。
「それよりクラス一緒だといいね!私秋がいないとマジ無理!」
夏は勉強が苦手だった。寧ろ(むしろ)嫌いに入る。
それなのに有名進学校に入学できたのは秋のおかげ。秋に教えてもらって朔咲高校を受験し、見事合格。
秋は嬉しかった。綺麗で明るくて何でも出来る夏に唯一頼ってもらえることが。
「私もなっちゃんと一緒がいいな…。不安だし、やっぱりなっちゃんがいないと落ち着かない」
「私もー!あ、あそこが体育館じゃない?」
広い敷地を歩き、奥にあった体育館を見つけた。
たくさんの新入生と親がおり、秋の緊張感がさらに増した。
あぁ、今日から私は高校生なんだ。
「秋、行こっ!」
「うん!!」
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