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入学受け付けを終わらせ、中に入ればたくさんの人がいた。外で見た数より圧倒的で、少し入るのに躊躇った(ためらった)。
夏が先に歩き、それに続く秋。受け付けで配られたプリントを見て、指定されているイスを探した。
秋と夏は離れており、そこで一旦別れた。一気に寂しくなり、そして不安になった。友達の存在とは大きなものだ。
秋は真ん中列の一番前。どういう順番で並んでいるのか少し考え、すぐに止めた。
と言うのも、右隣に座っていた男の子に目を奪われたから。
新入生で髪を茶色に染めているのは多分彼だけで、ピアスもしていた。
微かに(かすかに)香水の匂いがしたが、本当に微かだったので嫌な気分にはならなかった。
「(どこかで見たことある…)」
緊張をほぐすようにイスにもたれかかり、必死に思い出す、もしかしたらそれをきっかけに友達になれるかもしれない。
そして、
「(わかんない…)」
思い出せなかった。
そうしている間に話しかけるタイミングも解らず、入学式が始まった。
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