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俺は、半ば強制的にその場を逃れた。
そして厨房へ少し身を乗り出し、
「薺さん、樋口来たんで休憩いいですか?」
と、少し小さめに叫んだ。
「あ、そうだ…ね。休憩…先に取っ…て。」
ハンドミキサーの音で、声が聞き取りにくい…。
薺さんとは、この店のオーナー兼パティシエ。
ほんわかした雰囲気の持ち主で、良き"兄"の様な人だ。
でも、社会人としてのルールには、誰よりも厳しい。
俺はこの人に、すごく世話になってる。
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