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「ん、…ふ、ぅ」
息が持たなくなったのか胸をトントンと叩く。もっと唇を重ねていたいが渋々離し、かわりに腕の中へと納める。柳生の腕が背中へと回る。
「雅…は、る」
抱いてる時以外滅多に呼ばない俺の名を呼んで、俺の頭を撫でる。宥めるようなその手つきに俺は目を細めた。
『やーぎゅ、』
「…寂しいのですね、」
『寂し、い?』
柳生の言葉に核心を突かれた気がした。ガラガラと音を立てて崩れていく"何か"。
あぁ、そうか、
『寂しいんかのぅ…、柳生。』
「…本当の事言うと、私も少し寂しいんですよね。」
『何かが物足りん。』
心にぽっかりと空いたスペース。寂しさと、虚しさと、色々な物がスペースの周りをグルグルと回っている。自分で思ったより部活が、仲間の存在が大きかったようだ。
「全く…素直じゃないですね、貴方は。」
『はて、なんのことかのう?』
「ふう…困ったものです。」
言いつつ困った顔をしていない柳生の隣に座って肩に寄り掛かる。柳生もまた俺の頭に頭を乗せて、ぽつりと「好きですよ」と呟いた。
『やぎゅ…』
「皆さんには何時だって会えます、」
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