誤解の告白から始まるプロローグ

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ふわっとした生暖かい風が、私の目の前で俯いている歩の髪を揺らす。 つい先刻、放課後になるなり、私が密かに気にしていたりする二の腕を無理やり引っ張るようにして教室から私を拉致した歩は、そのまま大股でズンズンと歩きながらこの屋上まで連れてきたのだ。その間、一度もこちら側に振り返るようなこともせず、無言で私を引っ張り続けた。 そして屋上の中央部にたどり着くなり私を掴んでいた手を放し、私の方に振り返ったのだ。
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