1.Prologue

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覚醒は突然だった。 ガンッ 「……痛」 心地よい眠りの中にいたはずのオレの頭上には、黒と白の二色が散りばめられた球体……サッカーボールが直撃していた。 寝転がっていた桜の根元からゆっくりと起き上がり、脇に転がったボールを手に取る。 犯人は……いた。それもののユニフォームに身を包んだ男子が、オレを見て手を振っている。 その男子を一度睨み、その後にボールを投げ返した。男子は一瞬固まり、投げられたボールを見て、逃げるように走り去って行った。二度とするな。 「あ」 再び寝ようとしたオレの目に、真っ赤な雷が落ちる瞬間がコマ送りで写った。 紅の雷。そろそろ放送が入るだろ。 ピンポンパンポーン ほらきた。 『二年E組、葉桜夜宵(ハザクラヤヨイ)。ただちに処理に向かいなさい』 命令形かよ。だが、これが仕事だ。仕方ない。 オレは立ち上がり、紅い雷が落下した場所に走った。 † 「グルルル……」 数分後、オレの目の前では三つの首を持つ全長三メートルくらいの犬が吼えていた。 ケルベロス……もう慣れたな、こいつにも。 [夜宵]image=174099314.jpg
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