序章―出会い―

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俺は、走っていた。 当の昔にボロボロになっていた運動靴は走る間に擦り切れてしまい、もう靴の役目を果たしていない。 やけに風通しの良いシャツとズボンは穴だらけ。 髪は一応軽く手入れはしてもボサボサで、いっその事坊主にしようかと思ったけれども、そんな事をする金すらなくて。 そんな俺を追いかける奴等が居た。 それは、『取り立て屋』。 借金を背負う者を追い詰める嫌な奴等だ。 少なくとも俺はアイツらは大嫌いだ。 きっとアイツらも俺の事が大嫌いだろう。 俺は借金は作っていない、しかし…蒸発した親父が大量の借金を作っていて、幼い頃に母を亡くし父子家庭なもんだから、その借金は全て俺の元に舞い込んだ。 迷惑だが、かなり有り勝ちな事だろう…この社会はそう言う不純な事で満ち溢れている。
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