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あぁ、もうダメだ…っ、取り立て屋に…捕まえられる…っ!
しかし、足音は、音だけだった。
いや、見えなかっただけか…黒いロングコートに、フードを深く被って、闇に溶け込んでいる。
闇のようなソレは俺の前で立ち止まった。
「あんど、う…さん?」
男か女かわからないような声、中性的というか機械的というか。
気味の悪さについ眉間に皺が寄る。
「そ、そうだ…俺は安東だけど、何か用か…?」
男は小さく頷くと手を伸ばしてきた。
よく見れば何やら真っ黒なカードが握られている。
「…君に。今の自分を、変えたいだろう?借金を、無くしたい、だろう?」
「それは…。つか、なんで借金の事…っ、やっぱりお前、取り立て屋かっ!?」
差し出されたカードを受け取らずに尋ねると影は微動だにせず、話を続けた。
「…ちが、う。君、はこのカードで、『アンドウ』を作れたら、救われる。それを伝えにきた、だけ。」
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