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「は?お、俺を作る!?…っ、何が言いたいんだっ!?」
声が裏返りそうになり、咄嗟に息を吸い込んでみたが、やっぱり裏返ってしまった。
そんな俺の様子にも構わず影はまるで自分の一部のようなカードを俺に押しつけてきた。
「渡した、から…。使う、か、使わないか、は自由。」
そう言うと影はまた来た道を戻っていった。
俺はと言うと受け取る気にはなれなかったカードを何故か引き込まれるように見つめていた。
どうやら二つ折りになっていたらしい、カードを開くと真っ白な文字が目に飛び込んできた。
月明りが助けてくれるおかげで普通に読める。
「えっと…『願いを叶えたいなら自分の名を作れ。キミの場合はアンドウ。取り立て屋に襲われたら、これを見せる事で一時的にキミの借金は免除される。期間は今から三日間。さぁ、ゲームの開始。』」
何ともまぁ…うさん臭いカードで…。
つーか、アンドウを作るってなんだよ!?
半ば呆れ気味にカードを閉じると、裏表紙にデカデカと文字が書かれていた。
『A』
…まさか、Aって…『アンドウ』の『A』…?
『アンドウ』を作るって…アルファベットで?
うーん…。
俺は頭を抱えるようにして悩み始めた。
こんなカード、さっさと捨てれば良いのに、何となくそれも出来なくて…。
考え込んでいるうちにいつの間にか俺は寝入ってしまっていた――
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