第一章―ゲーム開始―

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一瞬どうしようか悩んだものの『S』なんて持ってもても仕方がない。 だから、別に奪われても関係ないだろう…、そう思ってソノザキと名乗る男にカードを渡した。 すると、ソノザキは驚いたように瞬きを繰り返してから、また嬉しそうに破顔した。 「おっまえ、言い奴だなぁっ!ほら、『D』っ!」 するとソノザキもカードを渡してきた、確かに『D』だ。 「…別に。例え交換せずにカードを持ち去られても俺に損は無いから。」 何となく褒められたのが嬉しくて、照れてしまった。 お世辞でもこんな事言われたのは初めてだ。 「な、一緒にカード集めねぇか?その方が効率良いし楽だぜ?」 照れくさくて顔を背けていると、ソノザキから提案があった。 ソノザキは既にかなりフレンドリーな口調になっている。 人を信じやすい性格なのだろうか?この短期間で、俺の事を信用してくれたような気がする。 信用してくれている、と言う事は…仲間にすると凄く助かるんじゃないだろうか?ソノザキはどうやらゲームに詳しいらしいし、何かわかるかもしれない。 悶々と悩んだ末、俺は小さく頷いた。
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