CHAPTER.Ⅰ[王宮の剣士]

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ルイス「サリヌは無手の構えだな、業はガンマンとかと思ったが打ち合って決を着けるか」 エリザ「銃とも組み打ちとも言い難い間合いですけどね」 サリヌ「さぁ来い」 ミラノ「挑んで来たのはそちらでしょう」 サリヌ「そうだったな」 ミラノ「まぁどちらでも良いですが」 サリヌ「本当、食えねぇ奴だよ」 - ダッ!  サリヌが地を蹴り跳ぶ。  左空中後ろ廻し蹴り、瞬時にミラノは左腕を上げガード、構えを取る。 ルイス「ミラノのガードの形(カタ)…少しオレらと似ていないか?」 エリザ「ええ…」 - ゴッ!  鈍い音。  着地と同時にミラノが踏み込み、右拳がサリヌの肋骨を心臓に埋めた。 サリヌ「ウゴッ…」  膝を着き息を止めた。 エリザ「恐ろしい破壊力ですね」 ルイス「あぁ、恐ろしいな。しかし銃なら捕らえられたかも知れないものを…」  エリザがミラノに近寄る。 エリザ「サリヌ・ウイングもミラノ・テラスの前には膝を着く…ですか」 ミラノ「買い被り、紛(まぐ)れですよ」 ルイス「紛れ当たりには見えないな、仮に懐に入れてフックが入れたのが紛れとしようか、サリヌも柔(ヤワ)じゃない筈だ。 肋骨は心臓には刺さらない」 エリザ「敢えて言えばそんな鍛え上げられた拳の持ち主ならば此処に至るまであれが紛れではない程の場数も踏んでいる、でしょう」 ルイス「更に付け加えるならオレらの眼も満更ではないというところか」 ミラノ「腕の方もでしょう」 ルイス「まぁオレらも戦はあまり好まない。痛い思いして負けるのも嫌だしな」 エリザ「ミラノ殿は何処の生まれなのですか?又は師か」 ミラノ「僕の生まれはミジェールですが父がナターダの生まれだとか」 ルイス「成る程。似てるが同じではない…か」 ミラノ「ナターダとは術の里、お二人はそこから?」 ルイス「いや、クレアだがな」 ミラノ「クレア…素性に興味が湧く話ですね」 エリザ「興味湧く…始めてですね」 ミラノ「同行しても構わないでしょうか」 ルイス「好きにしな」 エリザ「では、宿へ戻りましょう」
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