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(決死の覚悟で、かぁ……なるほどねぇ)
キッチンへ張り切って向かった時の彼女の姿を思いだし、また少し笑う。
あんなに気合い十分で臨んだのに、彼女は見事に玉砕したという訳だ。
しかもあの様子からして、スーパーの魚売り場で、魚達とにらめっこした時間は、きっと短くないだろう。
(人間、向き不向きってあると思うんだよね、僕は)
そもそも、例えば血が苦手なら魚をおろすなんて無理なのだから、その場合、素直におろされたモノを買ってくればなんの問題もないのだ。
横ではじっと、眉間に皺を寄せながらも目を逸らさずに、彼の包丁捌きを見ている彼女が居る。
彼女にとっては、命は『命』なのだろう。
例え、命だったもの、だとしても。
(ルカらしいと言えば、らしいね)
魚が可哀想で捌けないとは全く馬鹿らしいと思ったが、それにしても、助けを求めるまで約一時間、アジの前で苦悩していた妹の姿を思うと、やはり笑わずにはいられなかった。
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