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「……ぅっ」
彼女は吐き気をもよおした。
そんな彼女の様子を無視するかのように、彼はさらに続けた。
「ということは、やっぱり『う○こ味のカレー』を選択するよね、ルカ」
「……そう、ね……」
彼女は息も絶え絶えといった様子で答え、静かにトイレに向かい、それを静かに見守った彼は、(ちょっとルカには下品な話題だったかな)と、今更ながら思ったが、それ以上のことは考えずにカレー作りを再開した。
彼女がトイレから戻ると、テーブルにサラダとスープ、そしてカレーが置かれていた。
「ではでは、いだたきま~す」
彼は先ほどの下品な話題など忘れたかのように、むしろ上品にスプーンを口に運んでいる。
彼女は小さく「いただきます」と呟き、目の前に置かれたカレーを見た。
「ん? どうしたの? 食欲無いの?」
彼は彼女を心底心配そうに声をかけた。
「……なんでもないわ……」
彼女は、いつもの威勢を失い、力なくなんとか答えた。
彼は不思議そうに首を傾げ、しかしカレーをおいしそうに食べていた。
(う○こ味のカレー……)
彼女の頭を占めていたのは、このカレーがもしそうだったら…という恐怖。
彼女はとうとう、カレーに口をつけることが出来なかった。
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