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ざわ、と鬱蒼と生い茂った木々が生暖かい風に揺られる。
夜のしじまが支配する校庭に、その場にそぐわない純白の服に身を包んだ少女が一人、天を仰ぐように立っていた。
少女の顔には笑みが浮かび上がっている。
「面白くなってきたねえ」
不意に何もないはずの虚空に語りかけた。
再び、ざわ、 と辺りの木という木が揺らぐ。
「全くだな……」
何処からかねっとりとした声が響いてくる。
「本当にあの四人に会えて良かったと思ってるよ」
少女は遠くに生えている木に視線を向けて話す。
その木には少女とは正反対のこの夜の闇に溶け込んでしまいそうな色を身にまとったメガネの男が座っていた。
一瞬の後、その男はいつの間にか少女の背後へと回り込んでいた。
「確かに奴らには興味をそそられる。だが、本来の目的を忘れてもらっては困る」
男は舐め上げるようにゆっくりと話す。
少女は男の方へと向き直り、満面の笑みを浮かべて言う。
「分かってるよ。ただ、今まであったことを少し思い出してただけ」
男はくつくつと暗鬱な笑みを漏らした。
「……らしくないな」
「そうかな? それと、原田クンにはもう少し頑張ってもらわないとね」
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