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「……ねぇ。」
西香が来てから半時は過ぎている。
「来ないわね、」
「…来ないね。」
「何なのよそれ…あんた結局、“兄さん”には家族と認めてもらってないんじゃないの。」
「……僕はそれでいいんだけど。」
「じゃあなんで待ってるの。」
「………………。」
「…すぐ黙るんだから。」
何本目かの煙草をくわえ、南海と背中合わせに話していた西香は苛立ちを隠さずに言う。
「その癖直せば。いい加減に。」
「……………西香。」
南海は立ち上がる。
「何よ。」
西香はかすかに青い煙を吐き南海を見上げる。
南海の見ている方向には、こちらに向かってくる人影が見えた。
「一あれがそう?」
西香は自分も立って南海に訊く。
「…………さぁ、」
「…今に始まった事じゃないけど、」
あんたって本当にわかんない子ね、と西香は腕組みをしてこちらに来る人物を待った。
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