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「…メイリィ。もう私は死んで
しまう。だが私には心残りがあ
るのだ…」
「……やだ 何言ってるの、父
様っ…父様生きてるよ!元気だ
よ!…死なないよ!」
メイリィは“死”と言う事を十
分に思い知らされていた。
二年前、メイリィの姉のミイリ
ィ・アランディアが原因不明の
病気で亡くなっているからだ。
あの悲しみは言葉で言い表せる
ものじゃない。
二度とごめんだ。
それなのに。
「やだ!死ぬなんて言わないで
よ…!父様ぁ…!」
「メイリィ!聞いてくれ…」
「………!」
その父の一言でメイリィは何と
か落ち着きを取り戻した。
父はメイリィの小さな肩を優し
く掴んで目線の位置を合わせる
。
「私はもう長くはない。だから
最後に聞いてほしいんだ。」
聞きたくない……
「こんな戦争はもうやめよう、
と…バルデス国に伝えてほしい
。マリィは心臓に病があるだろ
う?他に王族はいない。メイリ
ィにしか頼めないんだ。」
聞きたくないよ……
「そして国境にいる女神の力を
奪い合って争うのももうやめた
い、と…」
聞きたくないんだってば……
「アランディア国の代表として
伝」
死んじゃう間際の言葉なんて…
「私は争うのは嫌いだ…それに
…国の繁栄は私達が作り出すも
のだからな…」
「聞きたくないよ!!!」
メイリィはそんな父の言葉を聞
いていられなくなり、心の声を
父にぶつけた。
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