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「戦争って…つらい?」
「……旦那様のあの言葉を気に
しておられるのですか?」
「…………」
「………そうですね…つらい…
んでしょうね……」
サラは髪を結う手を止めない。
「サラは……つらい?」
サラの手が一瞬止まったが、ま
たすぐに再開する。
髪に桃色のリボンを巻き終える
とサラはにっこりと微笑んだ。
「つらくなんてありませんよ、
お嬢様。私はお嬢様に仕えられ
るだけで幸せです。…はい、セ
ットできましたよ」
「…ありがと」
「では、失礼します」
サラは優雅に一礼してメイリィ
の部屋を後にした。
(サラは…つらいんだよね…)
そう思いながらドレッサーの鏡
にうつっている自分とにらめっ
こをする。
そしてメイリィは一分程経った
後、勢いよく立ち上がった。
「もうっ!しんみりしすぎだ私
!―――…朝ごはん食べよ朝ご
はん!!」
メイリィは自分の頬をぺちぺち
と二回叩いて一階のリビングに
向かった。
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