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「・・その少女が、非常に強く、『家族に会いたい』と思っています。ですから現時点で一番可能性の高いあなた方に、いわば『協力』をお願いしている情況です。
・・・あなた方以上に、むしろその少女の為に、私はあなた方が彼女の真の家族であることを願っていますし、信じています。あとは、実際に会って確かめてみてください」
父と母が神妙に頷き、私もそれに倣う。
「署員一同、ご協力に心より感謝いたします」
居住まいを正して敬礼した後に彼はドアを軽くノックし、ゆっくりと開いた。
――――
消え入りそうな少女が、そこにいた。
透き通るように白い肌、こけてくすみ気味の頬、骨と皮だけといった印象の手足、奇麗だがあまり手入れされていないであろう黒髪。
大きい眼は虚ろに私たちを見つめていた。
しかし、間違いなくその少女は、私たちが失った筈のかけらだった。
「・・・」
母が声にならないうめきをあげ、嗚咽を漏らす。
皆、かけるべき言葉が見つからず、立ちつくしたままで少女を見つめる。
すると、虚ろだった筈の少女の眼に幾分の光が宿り、みるみる雫が溢れ出した。
父と母はそれが合図だったかのようにベッドに駆け寄り、少女を抱きしめた、と思う。
私の視界は歪みきっていて、その光景をはっきりと見る事が出来なかった。
終
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