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もちろん、嘘などではない。
それを港も分かったのだろう。にかっとその派手な容姿とは裏腹な満面の笑みを見せると、マスターにカクテルを注文した。
「新曲なんだ。」
新曲というぐらいだからちゃんと歌手として活動しているのだろう。だがあいにく、紗耶香は、港を知らなかった。こんなに上手い唄なら忘れない。そんなに唄を好んで聞いたりするわけじゃないが、音楽番組を見ないわけでもない。
だから、失礼だが、無名なのだと勝手に解釈していた。
「バンドかなにか組んでいるの?」
「うん。一応、ロックバンドのボーカルなんだ。」
どんな名前なの?と軽い気持ちできくと、港は顔をすこし伏せて
「恥ずかしいから内緒。」
といった。はっきりいって関係ないのだが、すこし知りたいきもした。
「CDとか出してるの?」
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