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「このごろ毎日だね、紗耶香ちゃん。」 迷っている紗耶香に声をかけたのはカウンターの中で、ナッツを盛り合わせているマスターだった。 「そうかな?」 すこし困惑しながら、紗耶香が答えるとマスターはにっこりと笑った。 「もしかして、港くん探してる?」 虚を突かれてどきりと脈打つ。 だが事実だ。 実際、港にもう一度合ってお礼をいうためにここ二週間通い詰めているのだ。毎日は、残業があって無理だが、今の所二日おきには顔を出している。 失恋したての女がこんなことしているなんて馬鹿げていると思うだけど、港に惹かれている自分を否定するのはもっといやだと感じた。 付き合うとかそういうのではなく、もう一度あの唄を聞きたいのだ。あの告白のような甘美な唄を。 多分、言い訳だけど。
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