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その切れ目が今日だった。 数時間前にだされた終了宣言。相手は、紗耶香より三つ上のエリート街道まっしぐらの男だった。女に対する偏見が強い人間でもあった。こうあるべきだという確固たるものがあって、付き合いはじめた当初から、いろいろと注文に答えていた。 だが元々、紗耶香自体バリバリ働く女タイプの人間だったため、いつしかその注文には答えられなくなっていた。 「何考えてるの?」 はっと港に呼ばれて現実に返る。 「ちょっと、ね。今日、振られたものだから。」 本音を漏らしたのは、彼が和ませてくれるような気がしたからだ。 「そっかぁ、じゃあ、紗耶香さん聞きたい曲ない?俺これでも歌手の端くれだから歌うよ。下手だけど。」 そんなことない。さっきの唄だってすごく上手かった。
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