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港が声を発して、また感嘆した。 綺麗や美しいじゃ片付けられない繊細な声。 そして力強さ。 先ほどと違いマイクを使っていないというのに、すごく聞きやすい。声量もたいしたものだ。狭いバーだから響くとかそんな単純な理由じゃない。こんな隔たりなどなくて、例えば広いステージなどではさぞかし聞こえやすいのだろうと思えるようなそんな声。 ふとこの声が、こんな小さな所で聞いてはいけないような、勿体ないような感覚が襲ってきた。 こんな、所ではなく大きな所できけばさぞかし皆が色めき立つだろう。男女問わず、彼の声を彼の唄を好きになるだろう。 今日振られたということはその時点で忘れていたと言ってもいい。 それほど港の声と唄はすごい。 曲はどこにでもありそうなバラードだが、それがまた素晴らしかった。港が歌うと、何十倍も素晴らしく聞こえた。
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