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「なぁ、俺別に熱なんかないぜ。一体、どうしたっていうんだよ」
「……」
人混みは半端ではなかった。手を繋いでいなければすぐにはぐれてしまいそうな感じで、人が多い分、うるさいからなのであろうか。徹の言葉に和哉が振り返ることも、また答えることも一切なかった。
※
(カードキーロック……?)
そうして歩くことしばらく。
ビル名が刻まれたプレートがあるだけで、店舗などが入っていることを示す看板が一つもない、人気のないビルに着くと、階段で地下へと降り進む。
地下には扉が一枚だけあった。そこが何であるかを示すものは、一階同様何もない。
ピッピッピッ
カシュッ
扉の横には操作パネルが一台。なんと、電子ロックされている扉だったのである。
ガチャ
和哉は暗証コードを入力し、セキュリティカードを読み込ませると、ドアノブを回した。
扉は簡単に開いた。
(……え……)
目の前光景に、ただ徹は驚いた。
扉の向こうは、黒を基調とした、シックな内装のバーだったのだ。
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