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「……」
36名中、32名の出席者。ほぼ全員の参加だというのに、周囲をいくら見渡しても、彼、池上和哉の姿はなかった。
来ないのだろうか。
これは、賭けだった。
来なければ……。
或いは、来たのならば……。
「あ、あのさっ。お前って凄いよな。なんたって“Rose Air”の社員だし。こんな、秘密基地のようなバーだって知っている。やっぱ、こういう所って何かコネとかないと来られないんだろ?」
「……まぁ、そうだな。ある人の紹介で来るようになった」
「一人、で?」
「大抵はな。けど気に入った子がその時いれば、連れてきたりすることもある」
「“子”って……」
「桜井」
和哉の目はグラスから離れない。
「後ろ、見てみろ」
「……」
言われるままに、徹は背後を振り向いた。
後ろは幾つかのソファ席となっていた。
ソファはいずれも二人掛けで、そこには客の男が……。
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