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「あ、あのさ」
「うん……?」
「せ、せめてさ、シャワーくらい……」
「俺は別に気にしない」
「……」
バーをあとにし、ホテルへと場所を変えると、部屋につくなり、和哉が徹の服を脱がし始めた。
「もちろん、初めてだよな」
「う、うん」
徹はされるままに、けれども段々衣服がその身からなくなっていくことを恥じらって、うつむいた。
「目、閉じるなよ。俺だけを見ていろ」
「……うん」
「素直に。感じることに素直になればいい。分かったか?」
言葉の代わりに、頷いてみせた。
何も、纏(まと)っていない姿になった。
「桜井……」
「……んっ……」
バーでは唇を合わせただけだった。しかし今度は、微かに開いていた徹の唇の間を、和哉の舌が割って入ってきて、たちまちに徹のそれを絡めとる。
「……っ……ふ……ふ、ん……っ」
始めはザラリとした舌の感触だった。それが次第に、口の中が熱くなり、唾液のせいでぬめり気を帯びてくると、何か別の生き物のような、徹の中でそれは変化した。
「ふっ、んんっ……」
逃げても、追ってくる。ならと、向こうの動きになんとか自分も合わせてみようと試みる。
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