99人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱり最初に会った時から俺のこと、分かっていたわけ……?」
「……」
「どうなんだよ」
「……」
縁があったのか、和哉とは高校3年間ずっと同じクラスだった。一年生の頃から、和哉はその端整な容貌で女子生徒から注目されていた。
だが徹は、別段気にすることはなかった。
気になりだしたのは二年生の時。
相変わらず、和哉の人気は不動のものだった。
近づいてくる女子には、優しい態度で接する。
不思議に思ったのは、それぐらいに人気があるのに、全く浮いた話が出てこなかったことだ。
一部では他校に彼女がいるらしいとか、噂が流れていたようだが、学校にいる時は男子の友人グループといることが多かったし、バスケットボール部として、部活仲間とつるんでいる場面は何度も目撃していた。
気に掛かったのは、態度だった。
女子生徒への態度。男子仲間といる時の態度。
細かく言えば、態度というよりは、彼の表情だった。
自然な笑顔。よそよそしい、不自然な笑顔。
最初のコメントを投稿しよう!